多岐に渡る作物に対し、多くの被害をもたらし、多くの農家さんの頭を悩ませる根源となるアザミウマですが、苦手とする項目(弱点)がいくつかあります。
今回はそんなエリート害虫であるアザミウマの弱点を5つみていきましょう。
あなたの働き方にあった防除の方法がきっと見つかると思いますよ。
1.農薬の予防はローテーションで使用する?
アザミウマへ対する農薬は多くの種類が登録されています。
農薬は系統が異なると作用が異なるため、ローテーションで使用すれば薬剤抵抗性の発達を遅らせることができます。
農薬一つ取っても使用できる作物は、多岐に渡ります。
ローテーションで使用できるように日頃から多くの農薬をストックしておきましょう。
そのためにも、現在発生しているアザミウマがどの系統の農薬に対して抵抗性を持っているかを把握することが大切です。
初めは肌感覚でも構わないので、抵抗性を把握した上で、農薬を選択していきましょう。
2.天敵には敵わない?
アザミウマにも天敵が存在します。
アザミウマを食べる昆虫として、ヒメハナカメムシ類やカスミカメムシ類、アザミウマを食べるアザミウマ類やダニとしてはカブリダニ類がいます。
これらは、口針を突き刺して体液を吸汁する天敵です。
他にもアザミウマに寄生するハチ(アザミウマタマゴバチ・アザミウマヒメコバチ)や感染して病気を引き起こす寄生菌(ボーベリア菌・メタリジウム菌)が存在します。
これらの点滴を使用することは、アザミウマ防除に特に有効であると言えるでしょう。
3.青色または黄色に弱い?
アザミウマは色に反応する特性を持っています。
特に青色や黄色に誘引されるため、誘引用のトラップには青や黄色が使用されることが多いです。
ですが、どの色に誘引されるかはアザミウマの種によってことなるため、適切な色を選択する必要があります。
またアザミウマは光や紫外線にも反応をみせるため、そちらを考えてみるもの一つの手であると考えられるでしょう。
4.土に潜らないと蛹にならない?
アザミウマは蛹化するときに土に潜る性質を持ちます。
その理由は分かっていませんが、乾燥条件では蛹の死亡率が高くなります。
また蛹は歩行による移動ができないため、乾燥を避けられないことはもちろん、天敵から身を守ることが困難になることも考えられます。
5.冬が苦手で、冬越え場所が重要なファクター?
ミナミキイロアザミウマは、東南アジアからの侵入種であるため冬の寒さに弱く野外での冬越えはできません。
そのため施設の圃場でも冬季の一定期間解放することで死滅すると考えられてきましたが、この常識が通用しないことが明らかになりました。
施設を解放しても、施設内の雑草上でアザミウマの生息が確認されたのです。
そこで逆転の発想です。
栽培終了後、施設内の作物残渣や雑草を完全に削除し、締め切る。
施設内に残った成虫や幼虫は休眠しないため餌が必要ですが、残渣や雑草がないため餓死します。
また、蛹も羽化して成長となりますが、同様に餓死します。
冬季はアザミウマを撲滅させる期間とすることが可能なのです。
無理のない防除法を選択しましょう!
上記で解説した5つのようにアザミウマの防除法は多岐に渡ります。
ですが、みなさんがその全てを実行することは(時間的、金銭的にも)難しいと思います。
それに防除するべき害虫はアザミウマだけに留まらないのも事実です。
他の害虫の防除との折り合いを混ぜながら、無理のない範囲で適切な防除法を選択して行きましょう。