春先の暖かくなり出す時期に多発するヨトウムシ。多くの農家さんが、この害虫に悩まされてきたのではないでしょうか?
私たちの場合でも、レタスやブロッコリーを栽培で被害に遭っています。このヨトウムシに対する対策を、生態を元に明らかにしていきましょう。
ヨトウムシとは?基本情報を知る
ヨトウムシとは、蛾の一種である「ヨトウガ」の幼虫のことです。ヨトウガには、シロイチモジヨトウ、ハンモスヨトウなど多くの種類がありますがこれらの幼虫をまとめてヨトウムシと呼ばれています。昼間は土壌中や茎根に隠れ、夜中に活動する(食害を起こす)ことから「夜盗虫」と称されます。
葉の表面を網目状にして食害を起こしますが、ヨトウムシが犯人かどうかを特定するには、フンを見つけることもひとつの手です。
ヨトウムシは、1度に数十から数百の卵を葉裏へ産み付けます。特に幼い時期では、硬い葉脈の部分を食べないため網目状に食害が進みます。幼い頃は緑色をしていて、成長するに従い褐色になります。
レタスが結球してからは収穫に影響が出にくい。しかし、定植後の早い時期では食害が安易に進むため、収穫に対し大きな影響を受けます。
初期段階では、葉の表面一部に白い部分が見え始める。放置しておくと穴が開き始め葉がボロボロになります。
意外と多い?ヨトウムシの対策方法
以下、対策方法を「農薬を使用する場合」と「農薬を使用しない場合」の2つに分けて説明します。
・農薬を使用する場合
農薬を使用する場合は、『オルトラン水和剤』『プレバソンフロアブル』『プレオフロアブル』『アファーム乳剤』『ゼンターリ顆粒水和剤』などが有効です。ちなみに、ゼンターリ顆粒水和剤に関しては菌を使ってヨトウムシを駆除するため、自然栽培を目的とした栽培方法にも活用できます。
農薬を使用して駆除する場合はヨトウムシが小さい時に対策を打つようにしましょう。ヨトウムシが大きくなると殺虫効果が薄まります。また、幼齢期であるほど農薬の効きが早いですし、量も少量で効果が出るので経済的です。
・農薬を使用しない場合
《米ぬかトラップ》…栽培作物の土と同じ高さに米ぬかの入ったタッパーを敷くことによって、ヨトウムシを誘引します。ヨトウムシは米ぬかを食べますが、消化できずに窒息死します。
《土を掘る》…被害に遭っている食物の地面を掘り返すことによって数を減らすことができます。1つの株もとに5匹程度は潜んでいるはずです。
《葉を間引く》…被害にあった葉の裏を確認してみてください。卵や幼齢期の状態であれば、昼間でも密集した状態で確認することができます。再度被害に遭わないよう、間引いた葉の処理には細心の注意を払ってください。
《防虫ネット》…葉に卵を産みつけられないために、ネットを使用しましょう。主にヨトウガの成虫に対する対策です。手遅れにならないために早めに行動しておきましょう。
《コーヒースプレー》…ヨトウムシはカフェインを嫌います。そのため濃いめに入れたコーヒーを葉の表裏に吹き付けると効果的です。またコーヒーかすを撒いたり、堆肥として土に混ぜることによっても効果が期待できます。